牛田智大さんの演奏 一次予選

夜中に牛田さんの演奏(配信)を聴いていたら眠れなくなってしまったので、書いています。


ステージに上がる前から、YouTube配信視聴者に向かって笑顔で手を振り、親指を立てて両手を出して『僕は大丈夫です』という声が聞こえてきそうな、聴衆の緊張まで解そうとする優しさと強さに溢れた彼らしいコミュニケーション(私はそう解釈しました。少なくとも私の不安感や緊張感は取れた)。


ピアノはヤマハCFX。


ノクターン27‐2は天上の美しさ。丁寧で細部まで行き渡る演奏から浮かび上がる豊かな主旋律の響き。


エチュード10ー10は内声まで美しく歌っており、「内声だけ」ではなくすべての音が歌っている。10‐12「革命」は左手の粒の立ち方が素晴らしく、技術力の高さを感じました。普段の彼からは想像できないほど激しく、ショパンの怒りと悲しみをリスペクトを以て代弁する迫力の演奏。「革命」、今までよりも好きになりました。


幻想曲は圧倒的に惹きこまれる音作り。この規模の曲でもすべての音に神経が通っており、誠実さが溢れるばかりか、仄暗さや激情にも胸を締め付けられました。終盤に向かうにつれて打鍵が深く力強くなっていくようでしたが、決して叩かず、音割れしないのが心地よくもあり。いい意味で想像以上に情感に訴えかける激しい演奏で圧倒されました。


最後までカメラを意識して(勘違いだったらごめんなさい)笑みを浮かべたまま颯爽と去る清々しさ。ステージからステージ裏まで音楽と聴衆に向けて本当に高い意識を持っていらっしゃるのだなと思いました。


聴衆を気遣うステージ裏での振る舞いも、プログラムに込める思いや『お楽しみいただけますように』という言葉を聴衆に向けて(本番二時間前に!)Twitterで丁寧に綴ることも、どれだけ聴衆思いだろうと普通はできないと思います。精神力が……。演奏の前に牛田さんのツイートを見れたおかげで、より演奏に入り込むことができました。


Chopin Institute公式ツイッターのインタビュー動画も観ましたが、インタビューで言っていることと演奏でやっていることが一致していて素晴らしいなと思いました。余談ですが、演奏後に牛田さんのTwitterフォロワーが10,000人を突破し、日本のトレンドにも『牛田君』が入っていましたね(笑)


正統派を貫きつつ表現したいものをしっかりと出すことは簡単じゃないのでしょうが、ピアニストの個性を出すために曲があるのではなく、曲のためにピアニストがいるのだと思わされました。


すごく難しいことだし、この高いレベルのコンクールだと運や審査員との相性にも恵まれる必要があり、安易に言ってはいけないことだろうと思いつつも、「日本人初の」などはもはや関係なく、よい結果になってほしいです。



ここ数日は勉強が忙しく、大学も再開したため寝不足が続いています。その上夜更かしをしているのでおかしなテンションになっているかもしれませんが、悪しからず。感動を記録に残しておきたく、忘れないうちに素人ながら興奮状態で書きました。明日以降に見直して恥ずかしくなりませんように(笑)

夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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