夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

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文学フリマ札幌9 御礼

文学フリマ札幌9、おつかれさまでした!「待宵影」というサークルで出店しました、夕影です。まずは、本を手に取ってくださった皆様、ありがとうございました。出店者として同人イベントに参加するのは3度目、文フリに参加するのは2度目でしたが、つくった本を手に取ってくださる方々のいる幸せを、変わらず噛み締めています。以前のイベントで私のブースへお越しくださった方々の再訪も、とても嬉しかったです。今日は売り子さんがお手伝いしてくれたので、ちょこちょこ席を外して他のブースを見て回りました。回りきれなかったところもあるかと思いますが、気になっていた本をたくさんお迎えできて満足です。あと、サインをしてくださった斜線堂有紀先生がとてもお優しくて感激しました。名前も書いてもらっちゃった……!入場者数は文フリ札幌としては史上最高の1400人超だったそうです。夕影の頒布数も今までで一番でした。出店者としても、購入者としても、すごーく楽しかったです。また大切な思い出が増えました。運営の皆様、ボランティアの皆様、本を手に取ってくださった皆様、イベントを盛り上げてくださった出店者の皆様。あらためて、ありがとうございました!夕影巴絵P.S.次回開催は来年の8月末だそうです。ドンピシャで期末に被っているのですが、期末がピンチだろうと暑さでダウンしていようと、一度申し込んでしまえば出るしかないので(今回のように)。また来年も参加できますように……!

北海道COMITIA19 御礼

こんにちは、夕影です! 北海道コミティア(北ティア)お疲れさまでした。夕影の所属サークル「待宵影」は初出店でした。とっても楽しかったです!まずは、出店者としての感想を。コミティアは「創作漫画同人誌展示即売会」という表記からして、私のような新参者の小説は本当に一冊でも売れれば御の字なんだろうな……と不安に思いつつも、一緒に出店した湊本宵ちゃんに背中を押してもらって、一応、当初の予定よりも多めに在庫を持っていきました。しかしそんな不安に反して、無配を受け取ってくださる方、立ち読みしてくださる方、話しかけてくださる方、想像以上にたくさん来てくださいました。本当にありがとうございます!「見本誌コーナーで読んで気になったので」「ツイッターで見て気になっていたので」「装丁が目を惹くのでジャケ買いなんですが」等、購入の動機を教えてくださる方々もいらっしゃって、嬉しいのと同時に、参考にもなりました。あと、何名かの方々に装丁を褒めていただけてビックリしました(お友達が描いてくれたなきむしごはん!のイラストが素晴らしいのは当然なのですが、そこ以外を褒められると、はわ……となります)。嬉しかったです。分析としては、今回は見本誌コーナーに拙作を6冊も出していた(北ティア新刊はすべて提出するというルールに従った結果)ので、それも大きかったのかなぁと思います。次回も新刊を出せるように頑張りたいですね……。次に、買い手としての感想を。TwitterやBlueskyで目星をつけてきたサークル様を回りました。購入前には勇気を出して話しかけてみたのですが、皆さん優しく対応してくださって、また丁寧に御本の説明をしてくださって、たいへん充実したお買い物ができました。装丁が気になってその場で購入を決めた御本もありました。しおりやポストカード、ペーパー、折本など、ノベルティもたくさんいただきました。どうしても出店側としての視点が覗いてしまうので、「このお値段でこんなに沢山もらってしまっていいの……!?」と驚くこともしばしば。大切に楽しませていただきます!最後に、お隣のサークルさんについて。へにゃらぽっちぽーさんは私が六年前?に初めて北ティアへ行った時に見かけて、それ以来ずっと記憶に残っていたのですが、今回まさかのお隣さんでした。フリーペーパーの試し読みを読んで、試し読みが収録されている既刊と、新刊をお迎えしました。優しくお話してくださって嬉しかったです!菜つぱずるさん(代表者・菜藤そまつさん)は#文学フリマで買った本のタグから気になっていたサークルさんでした。どの巻から読んでもいいとのことだったので迷いましたが、私の謎な質問(?)にも対応していただいて、無事に自分好みの御本をお迎えできたと思います。総括すると、とっても楽しかったです!(二回目)次回の北ティア20は院試の日程と完全に被っているため、残念ながら参加は不可能なのですが、その次は是非とも出たいなと思っています。あらためて、ありがとうございました!p.s.無事に設営完了して出店できたのも、思う存分御本を買いに行けたのも、一緒にスペースに入ってくれた湊本宵ちゃんのおかげです。圧倒的感謝……!

読書感想メモまとめ 2024.3 Part1

『弁当屋さんのおもてなし ほかほかごはんと北海鮭かま』喜多みどり グルメ小説を読んでみようと突然思い立ってこの作品に出合いました。ごはんの描写が大変おいしそうなのはもちろん、何より人物がとても素敵です。食べることが大好きで親しみやすい千春。お客さん一人一人に向き合うユウ。ちょっと怖いかも……と思うお客さんもエピソードが終わるころには人の良さがきちんと伝わってきてほっこり。こんなお弁当屋さんがあったら絶対通う。『弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース』喜多みどり ユウさんかっこいい! お客さんと真剣に向き合い、お弁当のために調査力?推力?を発揮するユウさんはさながらグルメ探偵です。第四話に登場する「初夏の大学で降っていた雪のようなもの」、私は一瞬雪虫かと思ってゾッとしてしまいました(季節的にありえないのに……)。とてもユウさんには及びませんね。ユウさんの推理は腑に落ちました。「アレ」、大量発生するとすごいんですよね。大学の至る所に飛来して、屋内にまで溜まります。『弁当屋さんのおもてなし ほっこり肉じゃがと母の味』喜多みどり 今回は弁当の注文でかなりの無理難題を吹っ掛けられます。ハラハラしましたがしっかり対応したユウさんは流石。茜ちゃん、カワイイ……!『弁当屋さんのおもてなし 甘やかおせちと年越しの願い』喜多みどり 特に第一話が印象に残りました。スマホをいじりながら食べた時のごはんって、確かに美味しさ半減してたな……という気づきを得ました。美味しくごはんを食べられるのって大事なことだと思います。『弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君』喜多みどり なんだろうこのカップル尊い……いちゃつく描写がさらっと入るのがいい塩梅ですよね。 ギョウジャニンニクが登場しましたね! 道民としてテンション爆上がりです。うちではめんみで漬けて白ご飯と一緒にいただきます。匂いは本っ当に強烈なので、基本金曜か土曜にしか食べられません。それを餃子のたねに入れるなんて、なんと罪深い……(食べたい)。千春さんユウさんおめでとう!『弁当屋さんのおもてなし 夢に続くコロッケサンド』喜多みどり それによる気持ちの行き違いもありましたが、個人的にはこのカップルのちょうどいい距離感が結構好きです。交際を始めてもしばらく敬語が抜けないところとか、相手を尊重して、干渉し過ぎないところとか。しかしそれが行き過ぎるとかえって相手の意思を尊重しないことになる場合もありますし、望む形にまるく収まってよかったです。甘エビのフライとても美味しそう……。それまで主人公視点だった物語が最後の最後に主人公を見る第三者視点になる演出が憎い! ここまで見守ってきた二人が幸せそうで目頭がじんわり。『弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇』喜多みどり 新章開幕! 主人公交替ということでドキドキでしたが、新主人公・雪緒さんは仕事に真面目で弁当配達への熱意もすぐに芽生えて、とても気持ちのいいお方です。しかし雪緒さんが転職に至った背景と葛藤は重く、今後の展開に注目です。第二話のお客さんはかなりアクが強かったんですが、これまでの作品同様に最後はほっこり。第三話も本当にイヤ~な人が出てくるんですが、シビアな部分も描きつつ落としどころがちょうどいいんですよね。このシリーズのそういう展開のさせ方が好みです。MVPは茜ちゃん!『弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇2』喜多みどり 今回も主人公の雪緒さんが大活躍。新章は主人公の家庭環境に問題があったり、職場をやめた原因にパワハラがあったりと、結構重い要素が増えた気がするんですが、美味しそうなお弁当とほっこりとした読後感は変わりません。茜ちゃん、好きだ……。

読書感想メモまとめ 2024.2(書きかけ)

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦 くるくると場面が展開されて賑やかな絵巻物を眺めているみたい。大学生たちの黒髪の乙女がかわいい。「くだらない」ことに全力なハチャメチャ学生たちの中をすいすいと泳いでいく様は水の中のお魚みたい。偽電気ブラン飲んでみたいな~と思って調べたら飲める場所があるらしいです。この世界に対する評価が1upしました。『ぼくは勉強ができない』山田詠美『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦 どれも面白かったです。表題作「走れメロス」は原典をそう変えるのか!という意外性と面白さでずっと笑いっぱなしでした。他のお話もどこかもの悲しさがあったり、とてつもなくひねくれていたり。『最後は臼が笑う』森絵都 あらすじを読んで「悪い男」「完全な悪」とは一体どんな人なのか?と想像を膨らませてから読むと……。これ以上はネタバレになってしまうので書きませんが、「悪さ」の発想に笑いました。最後は痛快。『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦 アオヤマくん大好き。ずっとふわふわ不思議なことが起きているんですが、それを差し引いてもアオヤマくんの思考や会話を読むだけで面白いし心地よいです。ペンギンがずっとかわいい。『帝国の娘 上』『帝国の娘 下』須賀しのぶ 異世界物は設定を覚えるのが億劫であまり読まないのですが、そこは流石の須賀しのぶ先生。すいすい読めましたし、負けん気が強くて臆さない主人公の少女カリエにはとても好感が持てます。対象年齢的にも「革命前夜」より文章が易しいのですが、「革命前夜」のあの人物が刺さった人には、今作の結末も刺さりそうです。続きは長いシリーズものなんですね。読みたい。『十角館の殺人』綾辻行人 超有名な本作をこの歳までネタバレ踏まずに読めたのはラッキーでした。トリックにちゃんとビックリ!できました(笑) 登場人物が多いのでそこだけが大変でしたが、読みやすい文章でした。エラリー派かヴァン派かで分かれそうですが私は熟考した末のエラリー派です。『魔性の子』小野不由美 やはり小野不由美先生のホラーは、「質の高いホラーを読んだな……」という気持ちになりました。ホラージャンル自体はあまり得意じゃないのですが、小野不由美作品は好きです。この作品を読んで、ゴーストハントシリーズに続き十二国記シリーズも読み進めていくことに決めました。 皆さんのおかげで十二国記シリーズにつき事前知識なしで読むことができました。十二国記シリーズの世界観を知らないために最後まで恐怖を発するモノの正体がわからず不気味で、同時にワクワクもしました。本編の前に読めてよかった……。『52ヘルツのクジラたち』町田その子 『チア男子‼』朝井リョウ マイナーな男子だけのチアリーディングに挑む大学生たちの青春小説。元気になれそうな小説を読みたくて、ドンピシャでした。わちゃわちゃした文章の雰囲気が楽しかったです。『刺青殺人事件』高木彬光 日本三大名探偵の一人神津恭介のシリーズ一作目。神津恭介の設定があまりにも好みなので一作は読んでおきたいと思っていました。古い作品ですがトリックは十分楽しめました。刺青談義も興味深かったです。それから、警察官がとかく新憲法に則った捜査をしようと努力していて、そういう面ではむしろ現代の推理小説よりもストレスがなかったです(笑)『体育館の殺人』青崎有吾 二次元オタクの探偵なのにかっこいい。超絶オタクで期末試験で全教科満点を取れる頭脳っていくらなんでも盛りすぎ!って感じの設定が爽快。高校で殺人事件が展開されるの普通に怖い……けど、あまりドロドロしていないカラっとした推理ゲームの印象です。オタクネタは結構わかった……はず? 生徒会の会計の名字が椎名なのに名前が真冬じゃなくて悔しがるネタが一番面白かったです(笑)『雪の断章』佐々木丸美 佐々木丸美を初読。震えました。とめどなく溢れてくる心理描写と自然描写が混ざり合い、舞台が雪のまち札幌であることの必然性を感じずにはいられませんでした。各人物たちの心の動きと体の動きはでしっかり軸に貫かれており、人物造形の巧みさったら! 祐也さんも史郎さんも素敵。祐也さんが好みなんですっが、史郎さんがいるときの安心感ったらない。二人ともがいるからいいんです。 純愛と殺人事件と聞けばドロドロを連想してしまうのですが、この作品に満ちているのはむしろ冷たさの中に収納されたぬくもり。上手く言えないのですが、雪のかまくらみたいに真っ白で儚くて冷たくて温かい。文体が昔の少女向け文芸度特有であり、しかしそれでいて褪せない空気感に満ちていて……。とにかくよかったです。最後の一文が泣けました。『芙蓉千里』須賀しのぶ 須賀しのぶさんが描く少女ヒロインはやっぱり魅力的。本作主人公のフミは賢く機転が利いて思い切りが良い。しかし生まれ育った環境による傷がどこか陰を作っている。「革命前夜」同様、本当になんでも書ける作家さんなんだな、と。二十世紀初頭の女郎部が舞台ですから様々性的な営みの匂わせは出てくるんですが、不思議と下品さはありません。あまり読者を選ばないんじゃないかなと思います。巻末「桜の夢を見ている」とてもよかったです。黒谷、ベリーエフ、フミが揃う温かい空間が好きなんですが、なんとなく儚さを感じてしまいます……。フミの恋はこれからどこへ向かうのでしょう。