読書感想メモ 2021.6、2021.7まとめ『幸福な王子/柘榴の家』『車輪の下』『重い障害を生きるということ』ほか
「忙しい」を言い訳に更新が滞っていたのですが、流石に溜まりすぎたので、数ヶ月分まとめて片付けちゃいたいと思います。
本によって文体がバラバラですが、気にしないでください。
長くなっちゃったものは別ページに書きました。『感想』をクリックするとそのページに飛びます。
※ネタバレ注意
2021.6
『幸福な王子/柘榴の家』『キリトリセン』
2021.7
『車輪の下』『重い障害を生きるということ』『ゴーストハント6』『赤緑黒白』『四季 春』
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『幸福な王子/柘榴の家』ワイルド
短編集。『忠実な友』が興味深かったです。この恐ろしくリアリティに溢れた話が童話だっていうことに驚き。日本の童話なら、真の善い人であるハンスが最後には報われ、偽善的で極限までハンスを搾取した粉挽きが痛い目を見る……という結末になりそうですが、実際は……。
日本の"勧善懲悪"的な教訓話とは異なり、『忠実な友』に見られるそれは"正直者は馬鹿を見る(ことがある)"といった感じでしょうか。最終的にどちらを善、どちらを悪として描いているかは共通していますが、それを教訓として示す方法が真逆。
『キリトリセン』大高翔
初めて句集を読みました。掲載された俳句は瑞々しく、視覚的にも楽しめる本でした。
『車輪の下』ヘッセ
中学生の時に通っていた公文でお迎えを待っている間に読んだはずなのですが……さっぱり内容を覚えていませんでした。多分理解できてなかったんだと思います。
色々と衝撃的なシーンが沢山あったのですが、あまりにも有名な作品なので私が今更感想を書くまでもないと思います。
教育学部の視点では、主人公のハンスが超優秀な頭脳を持ちながら、『もし神学校に落ちたら、たぶん明日チーズ屋に見習として入れられるのだろう』と言っていたことにショックを受けました。大学に通っている私なんかより、何百倍も優秀で勤勉なのに……と。現代では教育を受けられることが半ば当たり前になっています(そうでない人がいることは理解しています)が、もっと感謝すべきだと思います。
(いや教育学部の視点から見た感想、薄っ……。教育虐待への批判とかもっとあるでしょうに)
『重い障害を生きるということ』高谷清
この本では、心身に重い障害のある人たちがどのように世界を捉え、生きているのかについて語られている。この本において「重い障害」とは、筋肉の緊張によって体を自由に動かせないばかりか、呼吸も思うようにできず、はっきりとした意識があるのか無いのかも外からははんだんがつかないという、そんな障害を指している。
この本の内容は主に二つの部分に大別できる。ひとつは、医師である著者が「びわこ学園」で実際に得た経験がありありと描写され、「重い障害」の意味を知らなかった人が読めば衝撃を受けるだろう部分。もうひとつは、重い心身障害を抱える子ども達への取り組みにおける歴史や思想についての部分である。
「生きていて幸せなのか」と思われても不思議ではないという重い障害のある人達が、どのような生きがいを感じて生きていくのか述べるとともに、著者はその疑問を人間や社会全体にまで広げ、論じていく。
「重い障害」に接したとき、反射的に目をそらしてしまうのは率直な反応である。私も「重い障害」を概念として認識しているものの、その実情やありのままの姿を直視したことは無く、目をそらしていることに気がついてすらいなかった。しかし、私たちの属している人間社会は多様な人間を含んでおり、その人間一人一人が誰しも平等にいのちを生きている。是非この本を読んで「重い障害」について知るとともに、人間が命に宿している光を見つめ直してみてほしい。
『ゴーストハント6 海からくるもの』小野不由美
今回も安定の面白さでした。やっぱり私は綾子が好き!時々見せるお姉さん的な面も大好きでしたが、強いキャラにはもっと惹かれるのです。綾子さん、爪を隠していたんですね……。
ナルが麻衣の説得に納得した!?『正論だな』と言って認めた!?流石ナルさん、プライドエベレスト級だけれど所長として冷静な思考回路をお持ちなんですね……と思いきや、めっちゃ暴走してるーーー!!!いや、衝撃でした。『正論だな』とナルに言わせた時の、麻衣の『勝ったぜ』というセリフが大好きです(笑)
余談ですが、超序盤の時点で、しかも容姿の描写等全然ないのに、彰文さんの雰囲気が好きになってしまいました。彰文さんが喋るとニコニコしている自分に我ながらちょっと引いていましたが、友達情報によると漫画版の彰文さんは結構好青年な感じで描かれているみたいです。やはり私の目に狂いはなかった(謎のドヤ顔をするなっ)。
『赤緑黒白』森博嗣
あぁ、ちゃんとヒントが示されていたんですね。ボールのイニシャルがS.S.なのは、人から貰ったものだからかと思っていた。
『彼女は、自分の影を見ているのだ。』
れんちゃんの目が赤かったの、なんでだろう?
森ミス最高の理解者である菅聡子さんの解説を全読者に読んで欲しい……。
『四季 春』森博嗣
読み終わったあと、この作者のことが怖くなった。好きとか推し作家とか通り越してゾッとしました。
後付けで世界観をどんどん繋げていく作品は沢山あるし、私はそれが結構好きです。でも、S&M〜V〜四季のサーガに関しては、最初からすべての構成が作者の思考の中にあった気がしてなりません。森先生天才!と思いつつ、本当はかなり過小評価していたんだと、四季まで読んでようやく気がつきました。
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