読書感想メモ 2021.8、2021.9まとめ(ほぼGシリーズとXシリーズ)
「忙しい」を言い訳に更新が滞っていたのですが、流石に溜まりすぎたので、数ヶ月分まとめてサラッと片付けちゃいたいと思います。走り書きみたいな感じ。
本によって文体がバラバラですが、気にしないでください。
長くなっちゃったものは別ページに書きました。『感想』をクリックするとそのページに飛びます。
※ネタバレ注意
2021.8
『四季 夏』『四季 秋』『四季 冬』『Φは壊れたね』『θは遊んでくれたよ』『εに誓って』『τになるまで待って』『イナイ×イナイ』『λに歯がない』『ηなのに夢のよう』『キラレ×キラレ』
2021.9
『タカイ×タカイ』『本と鍵の季節』『知識ゼロからの西洋絵画入門』
↓
『四季 夏』森博嗣
巻末に読者から集まった感想が掲載されていたけれど、神様がドミノを倒したなんて、言い得て妙な感想だなぁ。四季シリーズはS&MとVを読んだ人にとってご褒美が過ぎる。
喜多先生と友人(犀川)が出てきてフリーズし、「ア……男子高校生?」と気が付き無事昇天しました。
『四季 秋』森博嗣
この本を読んで、巨人の星で星飛雄馬のお姉さんが花形満と結婚することを知った、月曜の夕方……(笑)
萌絵と犀川のすれ違っているようで歩み寄ろうとしているちぐはぐな会話が好きすぎて、フフッって何回も声に出しながら読んじゃいます。犀川先生が友人の喜多先生に対してだけ鋭さ10割増になるのも好きです。喜多先生を電気に寄っていく蛾呼ばわり(笑)
S&M〜Vの回収、鮮やかすぎません?こんなに少ないページ数で、こんなに丁寧に、綺麗に全てをひっくり返せるものなの? 20冊分の過去の物語が全部、真賀田四季中心に回っていたってこと? 途方もない構成力に私の思考は遥か彼方へと飛ばされてしまいました。
『四季 秋』に至るまで合計24冊あったけれど、『四季 秋』でここまで森博嗣に噛み砕いてもらわなければ、真賀田四季という天才の動機は、多分、1ミリも理解できなかった。
『四季 冬』森博嗣
えーまってまってまって「ウォーカロン」「歳を取らない女王」「うまく眠れた真賀田四季」……これって、百年シリーズにも関わってるの?
芸術的な何かに触れて、泣きたいような、すごくやさしい気持ちです。ここまで読めば、森先生の発想が見掛け倒しでなく、どんなに洗練されて高い次元にあるのかわかるはず。
文章を覆う思考も、会話も、言葉も、空気感も、全部がこれ以上ないくらい魅力的で、理想で、もう離れられない……。四季、すごい作品だった……。
『Φは壊れたね』森博嗣
勝手に他人の電話に出ちゃって困っちゃう犀川せんせ……(笑)
加部谷ちゃん懐かしい〜!それに、新キャラ男子大学生も2人……!『四季 冬』に出てきた風景はこの研究室でしょうか。
海月くんと犀川先生は似ているけど、犀川先生の方が海月くんに較べて口数が多い分、(本当はバチバチの天才なんですが)天然っぽい微笑ましさというか、優しさがわかりやすい気がします。
『θは遊んでくれたよ』森博嗣
屋上にいる萌絵との電話で『いいぞ、その調子だ』と必至に呼びかける犀川先生。読者私、加速していく勘違いに笑い止まらず。萌絵も、『封印再度』の件があったというのに懲りてない(笑)
『Φ』に続いて海月くんが探偵役でしたが、海月くんよりもずっと少ない情報で真実にたどり着いていた犀川先生はやっぱり何枚も上手(うわて)ですね。
真賀田四季。メタナチュラル協会。保呂草。赤柳初郎(またまたヘンな名前)。声とアクセント。謎の女(たぶん各務亜樹良)。Φとθの事件に関係はあるのでしょうか?加部谷は何を連想したの?
『εに誓って』森博嗣
いや、山吹先輩の姉のくだり、面白すぎるでしょ!!!ずるい!!!(笑)森先生が同人方面にも造詣が深い(詳しいとかそういうレベルじゃない。気になる人はググッてください)のは存じていましたが、こうぶっ込んでくるか!(笑)
山吹先輩は、お姉さんが欲しかったBL同人誌を代わりに買いに行ってあげたってことですよね(確認するまでもない)。澄まし顔の山吹先輩が代行する中、サークルのお姉様方に「若い男の子珍しいな……。腐男子?それとも代行……?」と噂されているのを想像したら面白すぎます。
バスジャックは結構危機的な状況だったので、展開的に山吹先輩この巻で死ぬのもアリなのでは?加部谷は流石に生還するだろうし、最期は加部谷を庇って皆の記憶の中で生き続けるっていうもアリなのでは?……と妄想を膨らませててしまい、読んでいるこちらも生きた心地がしませんでした。でも、その度に(ここで山吹先輩が死んだら、BL同人誌は山吹先輩のものじゃないって加部谷が一生懸命皆に説明しなきゃいけないのかぁ)ということが頭をよぎり、笑ってしまいます。まさにカオス。
結末、見事に騙されました。あの、自殺しようと思っていた人は、やっぱり助からなかったのでしょうか……。山吹先輩のエピソードはとても面白かったですけど、自殺が絡むとやっぱり切ないです。
『τになるまで待って』森博嗣
S&Mの二人の関係がだいぶ進展しているらしく、嬉しいような、少し寂しいような……。Gシリーズ定番の流れとして海月くんの最強推理が炸裂するものだと思っていましたが、今回は犀川先生最強巻でした。今更ですけど、建築学科の学生と密室の相性ってとてもいいですよね。
それにしても、今回は山吹先輩のヒンヤリとした一面が際立っていたような。なんだかんだ加部谷の行動に付き合ってるところや口調、「山吹早月」という名前の影響もあってか、穏やかで面倒見のいい青年というイメージなんですけど……加部谷視点だと、山吹先輩コッワ……。
『イナイ×イナイ』森博嗣
『λに歯がない』森博嗣
『どうして助かるんですか?』と言った萌絵が、自分が"犀川化"していると他人にツッコミを入れられて気がつくのではなく、自覚しているのが可笑しい。積極的に使っていきたいワード、犀川化……(笑)
事件には騙されました。てっきり今回の事件も謎の組織に関係しているのかと……(作者の術中にすぐハマる有難い読者)。
萌絵が過去の記憶を消化して、変化・成長してきたのをハッキリと感じられてよかったです。森先生は変化を恐れない書き手だなぁと感じます。
『ηなのに夢のよう』森博嗣
『キラレ×キラレ』森博嗣
自分はまさに一日4時間電車に乗っている人間だから、小川さんの通勤電車の話、ゾッとしちゃったなあ。
小川令子の家に真鍋くんと共に集った椙田さんは、阿漕荘にいた保呂草さんとはまた違う感じだなぁ。口調が年相応の、というか、なんとなく男性みが増した口調になった気がする。
カッタ・マットの冗談にノリノリな椙田さん、面白いなぁ(笑)真鍋くんも、まさか本当に作ってくるなんて、流石芸大生って感じ。小川真鍋の漫才にもますます磨きがかかっていますね。
『なかなか可愛らしいところがありますので』という小川さんの発言を、自虐的だと咎めた椙田さん。言動の裏にある、こんなにも微妙な感情の機微をミステリ小説で言語化できるのか、とすごく印象深いシーンでした。
犯人を取り押さえた綺麗な女の人、もしかして……と思ったけれど、本当に萌絵だったのでうれしい!白いスーツもかっこいいな〜〜。
今回も真相は断定されなかったけど、これが森ミスの好きなところなんですよね(『η』の菅聡子さんの解説参照)。
『タカイ×タカイ』森博嗣
『本と鍵の季節』米澤穂信
図書委員である2人の男子高校生が本や図書館にまつわる謎を解いていく青春ミステリ。てっきり松倉がホームズで堀川がワトソンかと思いきや、2人とも探偵で新鮮でした。
2人が対等に渡り合って、時には軽くぶつかり合いながら謎を暴いていくのがよかったです。
最初は(軽いタッチで読みやすい話だな〜)と思っていたけど、最終話で青春に差す“陰り”が突如姿を現したのが、最高に"エモ"でした。続編も出たら読みます。
『知識ゼロからの西洋絵画』山田五郎
アートコミックの『まんが西洋美術史』と並行読みしました。
私は絵画に関して、「昔、ゴッホ展とダリ展に行った記憶があるな〜〜」「絵画は社会科の教科書に出てくるものくらいしかわからないな〜〜」という感じの人間でした。なので、とりあえず『まんが〜』で知った時代の絵をこの『知識ゼロからの〜』で確認する、という作業を繰り返しました。
『まんが〜』で時代と絵画の変遷を知ると、今までは絵画1枚1枚の解説を読んでも、「何が当時の人にとって新しかったのか」「どうして当時は受け入れられなかったか」などわからなかった部分がわかりやすく、 「確かにこの絵は、この時の価値観じゃ受け入れられないのも無理はないな」「こういう絵画の流れがあったから、この絵が生まれたんだ」などまんがの中に登場する当時の人々に共感できるようになりました。成長。
この『知識ゼロからの〜』はカラー刷りの絵と砕けた雰囲気の解説のおかげで、初心者でも取っ付きやすかったです。
今月は『ケーキ王子の名推理』シリーズも読みました。内容はかなり若い!って感じだったんですが、私は未だにふとした瞬間に少女漫画(りぼん、別マ、マーガレットとかで連載しているタイプの恋愛漫画)を読みたくなる人間なので、少女漫画を読むようなノリで、2人がくっつく巻まであれよあれよという間に読んじゃいました。しかもこのシリーズ、恋愛漫画にありがちなシリアスな要素(別れ、すれ違い、事故など)が目立たなくて、一貫してハッピーなんですね。だから読みやすかったです。久々に甘酸っぱい気持ちになれました(笑)
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