読書感想メモ『キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK』森博嗣


最近、感想のまとまりのなさに益々磨きがかかっています(?)
読書感想"メモ"ということで割り切っちゃってください。


『手榴弾の、リュウって、どんな字だったっけ?』
"シュリュウダン"ではなく"手榴弾"と表記されていたのが引っかかりました。どんな字か、わかっていて聞いたのでしょうか?


Twitterに関して、犀川先生の発言。
『僕もやりません。でも、常に見ています』
これ、森先生自身のことでは?(うっ、急に動悸が)
『ツイッタ』というワードが出てくる度にギクリとしてしまう私です。時間を無駄にしている自覚はあるんだよなぁ。時間は命に限りなく近いものだというのに。
タバコをやめたという犀川先生。これも森先生と同じ?


学会には慣れたという山吹先輩が本当に立派で……。
自分に答えられないような質問ならば、誰も答えることが出来ない。その境地まで勉強して緊張を無くすというのは、音楽においても共通する考えなんだろうなぁと、最近見た某ピアニストのインタビュー動画を思い出してしまいました。
(『舞台に立っている人の中で自分以上に作品を深く研究した人はいない、と思えるくらいまで勉強することが何よりも緊張を無くす方法だと思います』と言っていました)

当日、山吹先輩に散々プレッシャーをかけておいて、結局自分が寝坊してしまう加部谷ちゃん。愛おしすぎる。純ちゃん頼りになる。庇ってくれる萌絵やさしい。やさしい世界。
学会で発表をする山吹先輩、かっこよくて痺れちゃいました。海月の質問に(海月の気遣いの結果だとしても)動じないで答えられた加部谷ちゃんも、よく頑張った!


加部谷ちゃん、以前から山吹先輩と海月くんに対して若干ふじょしな一面を見せていたけれど、最近は犀川と萌絵でますますヒート・アップ!加部谷ちゃんの妄想好きです。

……と呑気に考えていたら、今度は山吹先輩に関する恋バナ(?)を展開する2人。聞かせて聞かせて!加部谷と雨宮純の恋バナ聞かせてー!

『山吹さんは、純ちゃんでしょう?』って!?えーー!!(加部谷……)
そして雨宮純さん曰く、正直に言うと、今までのどの彼氏よりも、山吹さんはいい……って!? 
私の中では山吹先輩の雰囲気が正直ドストライクなので、『山吹さんはいい』という公式見解に沸きました。その上で山吹先輩を『(自分が付き合うのは)ありえん』と言うのは、やっぱり海月より山吹の方に加部谷を任せたいと考えてのことでしょうか。

で、犀川せんせと萌絵は結婚してるの?(恒例の疑問)
純ちゃんは旦那って言ってるけど、本当に? 島田さんとの会話からは、まだなのかなぁって、私は思いましたが……。
萌絵と犀川先生の関係性にズバリ名前がつくことは、もう無いのかも?それでもいいや。それでこそミステリィ。


真賀田四季は、人を自殺させることが簡単にできてしまう。
その言葉からは当然、ジグβのラストシーンが連想されます。
犀川だけでなく、萌絵も真賀田四季に近づける人間。選ばれた人間。そんな恐ろしい存在に、近づかずに済むのなら、いいんですけれど。まあ、無理なんでしょうね……。引き寄せられちゃう、というか。


海月がいなくなり、大学院に進むのをやめた加部谷。どれだけ海月の存在が大きかったのだろう。そして、その海月は海外勤務希望……。確かに、大学で研究しながら学生の面倒を見て、時には政治にも巻き込まれて……という海月は想像できない。それよりももっと身軽に動ける身分が向いていそう。山吹先輩は逆に、いい意味で妥協ができるので研究者に向いているということですかね。
そんなこんなで、加部谷の想いが報われる気配、無い……。なんだか可哀想すぎて、山吹先輩じゃだめなの!?と言いたくなります。
でも、

『少しは自分で考えろって』海月はそこで軽く笑った。『相変わらずだな』

海月はやっぱり魅力的なんです。


事件について議論していた『あの頃』を懐かしむ加部谷と山吹、犀川と萌絵。
そうやって過去を懐かしむようになるほど、加部谷も萌絵も、大人になった。事件に積極的に関わりたがる人々がいなくなれば、物語も成り立たないわけで。なんだか、このシリーズ全体が終わりに向かっている感じがします。最終回前って感じ……。特に、S&Mコンビは本当に変わったなぁ。犀川に守られていたこと、周囲からの愛情の存在、それらについてしみじみと振り返る萌絵は、本当に昔とは別人みたい。


インタビューをしている純ちゃんは、普段とキャラが違いすぎます。事件解決を何かと邪魔してくる存在として描写されがちなマスコミが、身内にいる。なんだか新鮮です。
そんなマスコミとしての使命を突き進んだ結果、怖い思いをした雨宮。そして、手作りのマグカップが粉砕された加部谷。うう、私まで涙が出ちゃう。


誰が犯人か結局分からない。真相は闇の中。子が親を守ったのか、親が子を守ったのか。さらに、全く別の可能性も捨てきれない。これが森先生の描きたいリアルな"ミステリィ"なんでしょうね。事件が起こる、謎を解く、真実が明らかになる、ミステリ小説という形式を求める人は、肩透かしを食らってしまうはず。
海月も自分の意見はあくまで推測で、仮説で、意味が無いことだと強調し、推理を語りたがらない。それでも『一応の真相』を知って安心したい人々は沢山いる。だから、海月はしぶしぶ探偵役を受け入れるわけで……。
明らかに、森先生は意図的にこのリアルですっきりしないミステリィを作っている。推理を披露しない探偵役なんていますか? この海月の姿勢は、ミステリ小説に毒されて、「世の大半の事件には真実や動機があって、推理によって完全に解き明かすことができるはずだ」と信じ込んでいる人々には受け入れられないのかもしれません。Gシリーズを駄作だとミステリ愛好家が批判すること自体、そのミステリ愛好家たちが現実(リアル)を認められない空想家になってしまったことの証左になっているのでは(言い過ぎか)。

真実って本来はほとんどが明かされないものだもの。その本来のリアルをミステリィで再現し続ける作者の鋭さが堪らないんです……。


それにしても、キウイが放置されてるのが怖すぎるよー。γは?なんで温泉にキウイが浮かんでたの?
なぜアボカドではなくキウイだったのか?ボケた発言に見せかけて核心をつく。それが犀川先生……。




練習のコーヒーカップをもらって『あまり、女の子からものをもらったことないから』と喜ぶ山吹さん、いいじゃん。山吹さんで、いいじゃん加部谷。
夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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