読書感想メモまとめ 2024.2(書きかけ)

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦
 くるくると場面が展開されて賑やかな絵巻物を眺めているみたい。大学生たちの黒髪の乙女がかわいい。「くだらない」ことに全力なハチャメチャ学生たちの中をすいすいと泳いでいく様は水の中のお魚みたい。偽電気ブラン飲んでみたいな~と思って調べたら飲める場所があるらしいです。この世界に対する評価が1upしました。


『ぼくは勉強ができない』山田詠美


『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦
 どれも面白かったです。表題作「走れメロス」は原典をそう変えるのか!という意外性と面白さでずっと笑いっぱなしでした。他のお話もどこかもの悲しさがあったり、とてつもなくひねくれていたり。


『最後は臼が笑う』森絵都
 あらすじを読んで「悪い男」「完全な悪」とは一体どんな人なのか?と想像を膨らませてから読むと……。これ以上はネタバレになってしまうので書きませんが、「悪さ」の発想に笑いました。最後は痛快。


『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦
 アオヤマくん大好き。ずっとふわふわ不思議なことが起きているんですが、それを差し引いてもアオヤマくんの思考や会話を読むだけで面白いし心地よいです。ペンギンがずっとかわいい。


『帝国の娘 上』『帝国の娘 下』須賀しのぶ
 異世界物は設定を覚えるのが億劫であまり読まないのですが、そこは流石の須賀しのぶ先生。すいすい読めましたし、負けん気が強くて臆さない主人公の少女カリエにはとても好感が持てます。対象年齢的にも「革命前夜」より文章が易しいのですが、「革命前夜」のあの人物が刺さった人には、今作の結末も刺さりそうです。続きは長いシリーズものなんですね。読みたい。


『十角館の殺人』綾辻行人
 超有名な本作をこの歳までネタバレ踏まずに読めたのはラッキーでした。トリックにちゃんとビックリ!できました(笑) 登場人物が多いのでそこだけが大変でしたが、読みやすい文章でした。エラリー派かヴァン派かで分かれそうですが私は熟考した末のエラリー派です。


『魔性の子』小野不由美

 やはり小野不由美先生のホラーは、「質の高いホラーを読んだな……」という気持ちになりました。ホラージャンル自体はあまり得意じゃないのですが、小野不由美作品は好きです。この作品を読んで、ゴーストハントシリーズに続き十二国記シリーズも読み進めていくことに決めました。

 皆さんのおかげで十二国記シリーズにつき事前知識なしで読むことができました。十二国記シリーズの世界観を知らないために最後まで恐怖を発するモノの正体がわからず不気味で、同時にワクワクもしました。本編の前に読めてよかった……。


『52ヘルツのクジラたち』町田その子
 


『チア男子‼』朝井リョウ
 マイナーな男子だけのチアリーディングに挑む大学生たちの青春小説。元気になれそうな小説を読みたくて、ドンピシャでした。わちゃわちゃした文章の雰囲気が楽しかったです。


『刺青殺人事件』高木彬光
 日本三大名探偵の一人神津恭介のシリーズ一作目。神津恭介の設定があまりにも好みなので一作は読んでおきたいと思っていました。古い作品ですがトリックは十分楽しめました。刺青談義も興味深かったです。それから、警察官がとかく新憲法に則った捜査をしようと努力していて、そういう面ではむしろ現代の推理小説よりもストレスがなかったです(笑)


『体育館の殺人』青崎有吾
 二次元オタクの探偵なのにかっこいい。超絶オタクで期末試験で全教科満点を取れる頭脳っていくらなんでも盛りすぎ!って感じの設定が爽快。高校で殺人事件が展開されるの普通に怖い……けど、あまりドロドロしていないカラっとした推理ゲームの印象です。オタクネタは結構わかった……はず? 生徒会の会計の名字が椎名なのに名前が真冬じゃなくて悔しがるネタが一番面白かったです(笑)


『雪の断章』佐々木丸美
 佐々木丸美を初読。震えました。とめどなく溢れてくる心理描写と自然描写が混ざり合い、舞台が雪のまち札幌であることの必然性を感じずにはいられませんでした。各人物たちの心の動きと体の動きはでしっかり軸に貫かれており、人物造形の巧みさったら! 祐也さんも史郎さんも素敵。祐也さんが好みなんですっが、史郎さんがいるときの安心感ったらない。二人ともがいるからいいんです。
 純愛と殺人事件と聞けばドロドロを連想してしまうのですが、この作品に満ちているのはむしろ冷たさの中に収納されたぬくもり。上手く言えないのですが、雪のかまくらみたいに真っ白で儚くて冷たくて温かい。文体が昔の少女向け文芸度特有であり、しかしそれでいて褪せない空気感に満ちていて……。とにかくよかったです。最後の一文が泣けました。


『芙蓉千里』須賀しのぶ
 須賀しのぶさんが描く少女ヒロインはやっぱり魅力的。本作主人公のフミは賢く機転が利いて思い切りが良い。しかし生まれ育った環境による傷がどこか陰を作っている。
「革命前夜」同様、本当になんでも書ける作家さんなんだな、と。二十世紀初頭の女郎部が舞台ですから様々性的な営みの匂わせは出てくるんですが、不思議と下品さはありません。あまり読者を選ばないんじゃないかなと思います。巻末「桜の夢を見ている」とてもよかったです。黒谷、ベリーエフ、フミが揃う温かい空間が好きなんですが、なんとなく儚さを感じてしまいます……。フミの恋はこれからどこへ向かうのでしょう。

夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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