読書感想メモ 2021.3まとめPart1『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』『夢・出逢い・魔性』『地球儀のスライス』


※自分のための備忘録的な感想メモ。まとまりなく長々とメモするだけで、有益な考察などは提供できません
※小説のネタバレが嫌な人は注意してください

今月読了した本のうち、以下にメモした本:3冊

『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』青柳いづみこ

まず、ショパコンを題材にしたアニメや小説で必ずと言っていいほど議論される『ポーランドのショパン』や『正統なショパン演奏』が、ショパンが生きた時代からコンクール創設、そして現在までの歴史の中でどのように解釈されてきたのか説明される。私はこれらのワードはよく目にするものの、その起源や実情をしっかりと理解していなかったので知れてよかった。私と同じくよく知らなかったという人には、ショパンコンクールまでに予習として是非読んでもらいたい。

また、実際に現地に行った筆者による2015年のショパンコンクールのリポートは、舞台裏から審査員席まで臨場感をもって書かれており、コンクールに関わる人たちの様々な考え方にも触れられて楽しい。コンテスタントたちのインタビューも興味深かった。全体的に緊張感ある本書の中で、温厚で安定感のあるアムランに安心させられた場面も(笑) ケイト・リウとエリック・ルーは年齢がそこまで離れておらず(近いと言うほどでもない)同門、同じ大学なだけあってかなり仲が良かったのね。

全編を通して語られるのは、音楽(ショパン)を審査することの難しさ。期待の日本勢が挑む今年開催予定のショパンコンクールはどうなるのか少し怖くなるのと同時に、ますます楽しみになった。

『夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show』森博嗣


『地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE』森博嗣

森博嗣先生2作目の短編集。前作『まどろみ消去』から、さらに収録作品の作風の幅が広がっているように感じた。ミステリの定義というのは非常に曖昧で、私は「そこに謎がある」ならば、それはミステリ要素を持っていると思う。この短編集ではなんとも表現し難い森先生ワールドが広がっていたが、どの作品も広義のミステリに当て嵌るんじゃないかな、という風に考えている。

以下、いくつか収録作品についてメモ。

『小鳥の恩返し』はタイトルから連想するようにあらすじ的にはおとぎ話っぽいが、しっかりミステリだった。読みやすくて、読了感もスッキリ。

『片方のピアス』は、『森博嗣のミステリィ工作室(講談社)』によると、森先生が大学1年生の時に小学館の新人賞で佳作だったか、選外佳作だったかに選ばれた漫画を小説化したものだそう。漫画版も見てみたかった(原稿は残っていないという)。

『僕に似た人』は読んだあと、最後の数行(やたら具体的な階数が示される)が気になってページを遡ってみたりしたが、そんなことをせずに次の『石塔の屋根飾り』を読めば、わかります。

S&Mの短編は今回も2作。『石塔の屋根飾り』と『マン島の蒸気鉄道』。どちらも軽妙な会話が面白い。喜多先生の冗談を真に受けてしまった犀川先生にほっこり。Vシリーズを読んでいると癖のある語り手(hrksさん……)に翻弄され続けるわけで、久々に犀川先生にお会い出来ると安心する。練りの喜多先生も……(笑)

『気さくなお人形、19歳』はVシリーズに登場する小鳥遊練無が主人公。出版順で言うとVシリーズ始動の前だけれど、実際の時系列はどうなっているのかな?

『僕は秋子に借りがある』がこの短編集の最後を飾ったが、とても印象的な話で、最後に相応しい作品だと感じた。借りとは?秋子の目的は?これぞミステリィ。

また、解説はなんと漫画家の冨樫義博先生。森先生の小説ではなんらかの専門家が解説を担当されることが多く、そこも見どころ。冨樫先生の理系と文系についての考察は、ちょうど私が森ミスを読んで考えていたものと同じだった。私も文系で、森ミスにハマったきっかけも同じ。そういうわけで、この解説を読んで冨樫先生に親近感を持ってしまった(笑)

長くなってしまったので、他の本は読書メモ 2021.3まとめPart2に持ち越します。
夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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