読書感想メモ『ψの悲劇 The Tragedy of ψ』森博嗣
ねたばれ注意です。
鈴木さん、執事だということを差し引いても「はい」の返事が多かったり、自分が事情を説明しに行けば島田さんがその隙に逃げられる……とか、自分だけが警察に掴まる(捕まる、ではないのね)……とか、優しいというより、従順というか……。ウォーカロンっぽさはずっとありました。とにかく、ウォーカロンの黎明期を覗くことができて面白かったです。
エピローグは「意味がわかると震え上がる話」でしたね。歳を取らないボディの鈴木とは違って、将太は人間のボディのまま。つまり、八田洋久は将太の生体に自分の頭脳をポスト・インストールして、将太の人格を眠らせ、自分一人になったってことですよね……? イメージとしては、将太に八田洋久が乗り移った、みたいな。最後の研究をよりによって孫で試したんですね。鈴木の方は将太に愛着を持ち始めていたというのに……怖い。そして、恐ろしく頭がいい。
ただのロボットの「鈴木」を、鈴木(現:八田)は結構気に入ってるんじゃないかな?と感じたりしたんですけれど、どうなんでしょう? 今後相棒になったりしないかなあ。
辻村深月さんの解説も良かったな。Wシリーズ(講談社タイガ)は解説が無いから少し寂しい。森ミスから影響を受けた作家による解説からしか得られない栄養素がありますよねえ。辻村さんの解説にも出てきましたが、西尾維新さんとか。
島田文子の活躍っぷりはすごい。『F』の時は想像もしていませんでした。彼女がもうすぐ百歳ということは、時系列的には『χの悲劇』より少し後ということですよね。
まだディズニーランドはあるんですね?(笑)
ここだけの話(?)
「この執事さん、単なる執事キャラにしては主人についてやたら理路整然とスラスラ説明できるな……ウォーカロン……ま、考えすぎだよね〜」と考えつつプロローグを読み進めていると、『知識欲』『懐かしさ』などのワードが。やっぱり只者ではないのか?と思ったところで、「あ!」と思い出して、すぐさま本棚から『笑わない数学者』を取り出しました。まさか、(かつて天王寺博士のところにいた)鈴木くん? 天王寺家が関係している?と。
全然違いました。ミスリード? たまたま?
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