読書感想メモ『天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow?』森博嗣

ねたばれ注意






今回の事件、死者千人って……。淡々とした冷静な語り口だから気分が悪くなることはないけれど、恐ろしい。

それぞれのキャラクタの魅力が溢れた第9巻でした! Wシリーズも完結まで残すところあと1作。寂しい。


ハギリ

どんどん感情の揺れがわかりやすくなってきましたね。ウグイに意味がない発言は控えろ、と言われて一瞬舌を出すハギリが印象的でした。二人、仲が良い。キガタのことも大切にしようとしますが、やはりウグイは特別のようです。


ウグイ

キガタを抱きしめたシーンには涙を誘われました。彼女もハギリ同様、変化が著しい。森先生はキャラクタの感情の動きを魅力的に描くのが本当に上手いなあと。第1巻の時点で、ハギリとここまでいい感じになるなんて想像できませんでした。


キガタ

涙を流してから、「嬉しい」と言ったキガタ。「イシカワを正義へ導く義務と権利」を主張するキガタ。「がんばります」とボードに書いて見せるキガタ。人間になったのですね。その台詞を見て、私は「良かった」と感じました。それが正しいのかはわからないけれど……。


M&R

ミチルの脳がロイディに格納されていた理由の考察が、ここに来て見られるとは……感無量です。ミチルとロイディは確かにいたんだなあ。ミチルがあの後また殺されていたっていうのがショックです。ロイディの中で彼のコアは生き続けているわけですが……。いやあ、あらためてこの二人の関係性はミラクルです。真賀田四季は二人をどうするつもりなのでしょう。


ペガサス

子供だから時間外労働が許可されていないのだとしたら面白い。ショタ……。


面白かったです! クライマックスに向けてどんどんギアを上げていますね。キガタが宇宙で作業するシーンではこっちまで手に汗握りました。無事でよかった。はじめは無感情だと思っていたキャラクタが内面を見せるようになって、ハギリ、ウグイ、キガタの3人の絆が育っていく過程も見事です。

クローン禁止の理由、難しいですね。今とは技術も価値観も違っているでしょうから……。「生きているとは?」という百年シリーズでの問いが、さらに発展した世界で再び重くのしかかります。

夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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