読書感想メモ『人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly?』森博嗣

ねたばれあります





良すぎ!!!

大袈裟な脚色はされずサラッとした手触りで、かつ、多くを語らず、それなのに森先生の書く恋愛ストーリィはどうしてこんなにも胸を満たしてくれるのだろう……。Wシリーズは恋愛要素少なめかと思いきや、完結巻での胸キュン度は群を抜いていました。

もちろん最後の好きな人のことを考えて眠れない患者はウグイですよね。かわいすぎか。


色々な可能性を考えるけれど、真実はシンプルだった、みたいなこの感じ好きです。シモダがハギリに謝罪したシーンは、なんだか現実で今後起こりうる(もう起こっている?)ことを示唆しているみたい。コンピュータが間違えるはずはない、という信仰。


生殖の問題は? ハギリとウグイの関係は? Wシリーズの今後がまだ気になるけれど、世界の結末は神のみぞ知るのだから、ある種の世界である物語を読者が当然に最後まで知ろうとするのは傲慢だ、と思っておきます(?)


同じ〈未来を描いた作品〉でも、百年シリーズは異国的、神秘的な雰囲気に溢れた〈圧倒的な世界観〉でしたが、Wシリーズは自分がいま生きている世界と地続きの超未来の〈圧倒的な世界観〉という感じでした。たとえウォーカロンだとかトランスファだとかが出てきたり、死なないが産めない人類、人工知能の暴走といった今からは想像できない問題が登場したりしても。それがあるからこそ、なのかな。

Wシリーズに続くWWシリーズはシリーズ名からしてWシリーズより未来の物語かもしれないな、とぼんやり考えていたのですが、あらすじを見ると、そうくるか……でした。楽しみです。

夕影巴絵

ゆうかげともえ、と読みます。

哀感パヴァーヌ

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