読書感想メモ 2021.10まとめ
『目薬αで殺菌します』『氷菓』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『ノルウェイの森 上』『ノルウェイの森 下』『ジグβは神ですか』『キウイγは時計仕掛け』『ムカシ×ムカシ』『ゴーストハント 7』『今夜は眠れない』『今夜はパラシュート博物館へ』『いちばん親切な西洋美術史』他
ほぼ走り書き。ところどころ文章がめちゃくちゃです。
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『目薬αで殺菌します』森博嗣
『氷菓』米澤穂信
15歳という若さでありながら、語りがなんだかほろ苦くて、達観したような省エネ主義者で……しかし省エネ主義を掲げるものの、根が優しいゆえに結局手間を働いてしまうことも。主人公がすごくいいキャラしているなぁ。さわやかな青春学園小説でありながら、なんだかハードボイルドみたい。
そんな主人公・奉太郎が、関谷純の遺した叫びを鈍感な人間たちに伝えてやろうと、隠れた熱さを見せた時。グッときた。
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹
ここまで悲しみに満ちた悲劇を読んだのは久々。悲劇の渦中にいるのは中学生のうら若き少女たち。しかし、藻屑の撃ち込むロリポップの香りが立ち込めるこの世界を生きる彼女は、「死んでしまうのだ」とわかっていることも相まって、どこか浮世離れして神々しかった。なぎさは藻屑のことを絶対に忘れないと思う。忘れちゃいけない。死んだ人は生きている人の記憶の中で生き続ける、なんて言うけれど、死んでしまった藻屑は、きっとわずかな人の中でしか生きていけないから。
『ノルウェイの森 上』村上春樹
人を愛したことがなかったという東京の男子大学生が主人公の恋愛小説。
とても有名な作品だけれど、あんなにも爽やか且つあからさまに性行為が描かれているなんて知らなくて。
列車の席に座って読んでいる時に、該当部分で「カッ!」と効果音がつくくらい、「人生でこんなに持ち上げられたことないよ〜」とまぶたから吹き出しが出るくらい、目を見開いてしまって、その場面を誰かに見られていたらと思うと(自意識過剰)恥ずかしい(笑)
人は不測のものに驚くという当然の原理が働いた。
でも、悪い意味での俗っぽさは感じなくて、自然と惹き込まれる不思議な物語の世界観。
ヘンな喋り方だと指摘される主人公。この主人公の喋り方が好き。私が好きな別の作家の男性キャラクタも、こんな喋り方をします。海外小説に影響を受けた人が書く本、好きかも。
『ノルウェイの森 下』村上春樹
どちらかというと受け身な感じで、流されながら生きているように見えるのに、不思議な魅力で人を惹きつけるワタナベ。女性はもちろん、男性にも好ましく思われやすいんじゃないのかな。だけれど、どんどん人が離れていく、孤独は深くなっていく……。
随所に挟まれる性描写は、やっぱり物語を理想化しすぎない意図もあったのかな。でも、それにしては他の作品では見られないある種の綺麗さも感じるし……不思議。
直子が死んでしまうのがどうしようもないことだったのなら、最後に緑を愛するように変化したのはよかったのかも。死ぬ人を好きで居続けるよりも。でも、最後まで直子を選べなかったこと、直子に選ばれなかったことの方が不幸だったのかな?わからない。
人によって解釈が別れそうな結末だったけれど、私には解釈と呼べるほどのものも思いつかない。直子と緑の間で揺れ動いて、最終的には緑を愛したけれど、直子を失った喪失感でこれまで自分が立っていた場所すらわからなくなって……。緑との電話でそのことを自覚して生まれたのは希望なのか、絶望なのか。
『ジグβは神ですか』森博嗣
『キウイγは時計仕掛け』森博嗣
『ムカシ×ムカシ』森博嗣
『ゴーストハント 7』小野不由美
『今夜は眠れない』宮部みゆき
序盤は男と女が関わるだけで全く関係ない外野がああだこうだと言う世間(お母さんと相場師)に辟易してしまい、とても円満とはいえない夫婦仲の描写にも若干の辛さを感じたが、最終的に物語はなんかいい感じに着地したし、後味も全く悪くない。キャラとしては新田さんがお気に入り。
世間のリアルな(嫌な)描写を、色々(浮気とか浮気とか……)なことを有耶無耶にしちゃうくらい大らかな家族愛が中和している気がした。まあ、自分が聡子さんだったら……と考えてみると、とてもじゃないが元通りにはなれないと思う(笑)
「親友「島崎君」シリーズ」の1作目。そんなシリーズ名だったのね!島崎君、賢くてかっこいい。
『今夜はパラシュート博物館へ』森博嗣
『いちばん親切な西洋美術史』池上英洋/川口清香
『知識ゼロからの西洋絵画史入門』山田五郎
『知識ゼロからの近代絵画入門』山田五郎
『知識ゼロからの日本絵画入門』安河内眞美
美術検定3級の対策に。
『いちばん親切な〜』は4〜5時間ほどかけてザッと通読した。美術検定公式テキストは肌に合わなかったが、この本は本当に親切でよかった!
日本絵画はあまり知らなかったが、伊藤若冲『老松白鶏図』のパワーに圧倒された。松の硬さの表現がリアルで、実際に松に触れた時の痛さが思い出された。
それから、漫画『ライチ☆光クラブ』も読みました。
飴屋法水氏の大きな支えがあって完成した『ライチ☆光クラブ』。とあるサイトによると、『ライチ光クラブ』をやった東京グランギニョルの元メンバーの中には、複雑な思いを持っている方もいるようです。しかし、1980年代の熱気に溢れた伝説の劇団の存在を知れたことが嬉しく、古屋兎丸先生が漫画を描かなければ、私のように多くの若者がその存在を知ることはなかなか実現しなかったのではないか、と思いを馳せました。そのような形で知られることをたとえ不本意に思う人がいたとしても、私らは感謝するのだろうと思います。
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